GA4の探索レポート(ヘルプでは「データ探索」)は、標準のレポートでは答えが出ない問いに、自分で表や図を組んで答える画面です。左のメニューの「探索」を開き、白紙かテンプレートから作ります。画面は左から「変数」(使う材料を取り込む欄)、「タブの設定」(表の形を決める欄)、右の大きな結果の欄に分かれていて、材料を変数に取り込み、タブの設定の「行」や「値」に置くと、結果が出ます(2026年10月時点のGoogleのヘルプによる)。
小さな会社のサイトで使う型は、次の3つで足ります。①どのページを通って問い合わせフォームにたどり着いたか(経路データ探索)。②流入元(検索、直接、ほかのサイトなど)ごとに、読まれ方とフォームの入力開始を比べる(自由形式)。③どのページで訪問が終わっているか(自由形式)。この記事では、3つを手順どおりに作れるように書きます。始める前に、データ保持期間が2か月のままになっていないかだけ確かめてください。理由は最後の章に書きます。
探索レポートを使うのはどんなときか
GA4の「レポート」に最初から並んでいる表(トラフィック獲得、ページとスクリーンなど)は、決まった切り口で全体を見るためのものです。たとえば「検索から何人来たか」「どのページがよく見られたか」は、標準のレポートで分かります。
一方、「問い合わせフォームを開いた人は、その前にどのページを読んでいたか」「検索から来た人と直接来た人で、フォームに手をつける割合は違うか」のように、二つ以上のことを組み合わせた問いには、標準のレポートでは答えにくくなります。そういうときに探索を使います。逆に言えば、毎月の数字を眺めるだけなら探索は要りません。何か一つ確かめたい問いがあるときに開く画面だと考えてください。
基本の操作:変数・タブの設定・手法
開き方と、新しい探索の作り方
- GA4の左のメニューで「探索」を押します(ヘルプの日本語版では「データ探索」と書かれています)。
- 「新しいデータ探索を開始」の並びから、白紙の探索(「+」の作成アイコン)か、「自由形式」「経路データ探索」などのテンプレートを選びます。
- 左上の名前の欄に、あとで分かる名前(例:「問い合わせへの経路」)を入れます。
「変数」に材料を取り込む
変数の欄には「ディメンション」「指標」「セグメント」の3つの区分があります。ディメンションは表の「切り口」(ページ、流入元、イベント名など)、指標は「数」(セッション、表示回数、イベント数など)、セグメントは「対象の絞り込み」(検索から来た人だけ、など)です。
- 「ディメンション」の右の「+」を押し、使う項目にチェックを入れて「適用」を押します(画面では「インポート」と出ることがあります)。
- 「指標」でも同じように取り込みます。1つの探索に取り込めるのは、ディメンションと指標がそれぞれ20個までです。
- 期間は、変数の欄のいちばん上にある日付を押して変えます。「過去28日間」のような決まった期間で保存すると、開くたびにその日から数えた期間になり、日付を指定して保存すると期間は固定されます。
「タブの設定」に置く
取り込んだ項目は、ダブルクリックするか、タブの設定の「行」「列」「値」などの欄へ引きずって置きます。置き場所の欄を先に押して、一覧から選ぶこともできます。自由形式の表なら、行にはディメンションを5つまで、列には2つまで、値には指標を10個まで置けます。「フィルタ」の欄にディメンションを置くと、条件に合うデータだけに絞れます。1つの探索の中にタブ(表や図)は10個まで作れるので、同じ材料で別の表を並べることもできます。
手法は7種類。小さな会社が使うのは2つ
「手法」は、タブの設定のいちばん上で選ぶ、表や図の種類です。ヘルプに並んでいるのは次の7つです。
| 手法 | 分かること | 使う場面 |
|---|---|---|
| 自由形式 | 好きな切り口と数の表やグラフ | よく使う |
| 経路データ探索 | ページやイベントの順番 | よく使う |
| 目標到達プロセスデータ探索 | 決めた段階ごとに何人残ったか | 段階がはっきりしているとき |
| セグメントの重複 | 二つの集団の重なり | あまり使わない |
| ユーザー エクスプローラ | 一人ずつの行動 | あまり使わない |
| コホートデータ探索 | 同じ時期に来た人のその後 | 来店予約などの再訪を見るとき |
| ユーザーのライフタイム | 長い期間での価値 | 通販など |
月に数件から数十件の問い合わせを受けるサイトなら、自由形式と経路データ探索の2つで、知りたいことの大半に届きます。以下の3つの型も、この2つで作ります。
型1:どのページから問い合わせフォームに進んだか(経路データ探索)
問い合わせのページを「終点」にして、そこに来るまでに通ったページをさかのぼって見ます。経路データ探索は、始点(ここから先の動き)か終点(ここに来るまでの動き)のどちらか一方を決めて作る手法です。両方は同時に決められません。
- 「探索」の「新しいデータ探索を開始」で「経路データ探索」のテンプレートを押します。
- 右上の「最初からやり直す」を押して、白紙から始めます。
- 「終点」の箱を押し、ノード(経路の一つひとつの点)の種類としてページパスを選び、一覧から問い合わせのページ(例:/contact/)を選びます。
- 終点の左に、その直前に見られていたページが並びます。並んだページ(ノード)を押すと、さらに一つ前の段が開きます。もう一度押すと閉じます。
- 各段の上のメニューで、ノードの種類を「ページのタイトル」に変えることもできます。URLより題名のほうが読みやすい場合は切り替えます。
- 同じページの再読み込みなどで同じノードが続いて見づらいときは、「特別なノードのみ表示する」をオンにします。値が変わったところだけが並びます。
各段には、初めは数の多い上位5つのノードが出ます。「+ 追加」で1段あたり20個まで増やせ、それ以外は「その他」にまとめられます。
読み方と、結果から決めること
- 直前のページが料金や進め方のページなら、読み比べたうえで連絡してきている人がいます。そのページの最後に問い合わせへの入口があるか、そこで迷わせていないかを確かめます。
- 直前がトップページばかりなら、多くの人はメニューから問い合わせに直接来ています。中のページを読まずに連絡してきたのか、読んでからトップに戻ったのかは、もう一段さかのぼると分かります。
- よく読まれているのに一度も経路に出てこない記事は、読んだ人の次の行き先が用意されていない可能性があります。記事の内容とつながる案内のページへのリンクを足す候補です。
ページを終点にすると「問い合わせのページを開いた人」の経路で、送った人の経路ではありません。送った人だけを見たいときは、終点のノードの種類をイベント名にして、フォーム送信のイベント(当社なら generate_lead)を選びます。送信をイベントとして数える方法はGA4で問い合わせを計測するに書いています。
数の小さいサイトでは、経路は数本しか出ないことがあります。当社のサイトでも、2026年10月8日に見た過去28日間で、問い合わせのページ /contact/ の表示回数は25でした。この規模なら、比べるより「どんな道筋があったか」を一本ずつ眺めるほうが役に立ちます。期間はデータ保持期間の範囲でできるだけ長く取ってください。
型2:流入元ごとに、読まれ方とフォームの入力開始を比べる(自由形式)
「検索から来た人」「直接来た人」「ほかのサイトから来た人」で、読まれ方とフォームへの手のつけ方が違うかを見ます。フォームの入力開始は、拡張計測機能がオンなら form_start というイベントで自動的に記録されています。ヘルプでは、そのセッションで初めてフォームを操作したときに記録されるとされています。
- 「探索」で「自由形式」のテンプレートを押します。
- 変数のディメンションに「セッションのデフォルト チャネル グループ」と「イベント名」を、指標に「セッション」「エンゲージメント率」「イベント数」を取り込みます。
- 1つ目のタブで、行に「セッションのデフォルト チャネル グループ」、値に「セッション」と「エンゲージメント率」を置きます。流入元ごとの訪問の数と、そのうち関心を持って読まれた割合が並びます。
- タブを1つ足し、行に同じ「セッションのデフォルト チャネル グループ」、値に「イベント数」を置きます。フィルタに「イベント名」を置き、form_start に一致する条件を選んで適用します(条件の名前は画面の表示に従ってください)。
- 2つのタブの数を、流入元ごとに見比べます。2つ目のイベント数を1つ目のセッションで割ると、フォームに手をつけた訪問のおおよその割合になります。
エンゲージメント率は、ざっくり言えば「すぐに帰らずに読まれた訪問の割合」です。正確な定義はGA4のエンゲージメント率と直帰率にまとめています。流入元の分け方(Direct、Organic Search など)の意味はDirect・Unassigned・(not set)とはとGA4で流入元を調べる方法にあります。
当社の数字で見ると
当社のGA4で、10月8日に見た過去28日間の流入元ごとの数字は次のとおりでした(標準のレポート「トラフィック獲得」の値。画面では「セッションのメインのチャネル グループ」という切り口で表示されていました)。
| 流入元 | セッション | エンゲージメント率 |
|---|---|---|
| Direct | 189 | 40.21% |
| Organic Search | 28 | 78.57% |
| Unassigned | 6 | 33.33% |
| Referral | 2 | 100% |
検索から来た訪問のほうが、よく読まれているように見えます。ただし、この期間はサイトの作り直しの最中で、Direct には当社や関係者が確認のために開いた分が多く含まれていると当社はみています。社内の閲覧を除く設定もしていませんでした。このまま「直接来る人は読まない」と結論づけるのは早すぎます。型2の表を読むときは、社内の閲覧がどの流入元に混ざっているかを先に考えてください。除き方はGA4の「Direct」「Unassigned」とはに書いています。
form_start が問い合わせフォームのものかを確かめる
form_start は、問い合わせフォームに限らず、ページの中のフォームの操作で記録されます。当社のサイトでは同じ28日間に form_start が10件(ユーザー10人)、フォーム送信の generate_lead が2件でした。ただ、form_start の10件がすべて /contact/ の問い合わせフォームでのものかは、この数字だけでは分かりません。2つ目のタブの行を「ページパスとスクリーン クラス」に変えると、どのページで入力が始まったかが出ます。問い合わせ以外のページが混ざっていれば、そのページを除いて数え直します。
なお、generate_lead の2件が実際の問い合わせか、確認のためのテスト送信かも、GA4の数字だけでは区別できません。件数そのものは受付の記録で数える、という当社の考え方は問い合わせの数え方に書いています。
型3:どのページで訪問が終わっているか(自由形式)
GA4には「離脱数」という指標があります。ヘルプでは、あるページで1回のセッション(訪問)の最後のイベントが起きた回数とされています。つまり「そのページを最後にサイトを離れた回数」です。標準のレポートには最初から並んでいないので、探索で出します。
- 「探索」で「自由形式」のテンプレートを押します。
- 変数のディメンションに「ページパスとスクリーン クラス」を、指標に「表示回数」と「離脱数」を取り込みます。入口になったページも見たいなら「閲覧開始数」も取り込みます。
- 行に「ページパスとスクリーン クラス」、値に「表示回数」「離脱数」を置きます。
- 表の「離脱数」の見出しを押して、多い順に並べます。
離脱数を表示回数で割ると、そのページが見られた回数のうち、どれだけがそこで終わったかの目安になります。割合として表に出す方法と、数字のずれの理由はGA4の離脱率の出し方で詳しく説明しています。
離脱は悪いことではありません。どの訪問も、最後はどこかのページで終わります。送信後のお礼のページやアクセスのページのように、そこで用が済むページは離脱が多くて当然です。直す候補になるのは、料金・サービス・問い合わせフォームのように「ここで終わってほしくないページ」で終わっている場合です。ページの役割ごとの読み分けも、離脱率の記事の表にまとめています。
数字が出ない・少ないとき:データ保持期間としきい値
データ保持期間。探索で使えるデータの期間は、プロパティの「データ保持期間」の設定で決まります。ヘルプでは、何もしなければGA4のプロパティは2か月分のデータを保持するとされています。2か月のままだと、探索の期間を半年前まで広げても、2か月より前の分は表示されません。標準のレポートはこの設定の影響を受けないので、「標準のレポートでは半年前が見えるのに、探索では見えない」ということが起きます。設定を14か月にしても、すでに消えたデータは戻りません。気づいたらすぐ変えてください。手順はGA4のデータ保持期間にあります。
しきい値。ヘルプでは、利用者のプライバシーを守るため、探索やレポートには「データしきい値」が適用されることがあるとされています。しきい値が適用されると、人数の少ない行が表に出てこないことがあります。そのときは、期間を長くするか、行を細かく分けすぎないようにします。
社内の閲覧。型1から型3のどれも、社内の人が確認のために開いた分が混ざると、経路も割合も実際の利用者とずれます。数字が小さいサイトほど影響が大きいので、内部トラフィックの除外を先に済ませておく価値があります。
作った探索の保存と、ほかの人との共有
- 作った探索は、作った時点では自分しか見られません。
- 同じプロパティのほかの人に共有するには、そのプロパティで「アナリスト」以上の役割が要ります。共有された探索は閲覧だけで、直したいときは複製して自分の探索として編集します。
- 削除できるのは作った本人だけです。1人が1つのプロパティで作れる探索は200件までです。
制作会社や運用の担当者に探索を作ってもらう場合、その人の権限が「閲覧者」だと、作った探索を共有できません。役割の違いはGA4の権限付与とユーザー追加にまとめています。
探索の表は、作ること自体よりも「この結果を見て何を直すか」を先に決めておくほうが大事です。当社は、ホームページの運営に加わり、問い合わせが来るまでを引き受けています。こうした表は、どのページから直すかを決める材料の一つです。問い合わせの目標から、どれくらいの訪問が要るかを先に見積もりたいなら問い合わせ目標からの逆算ツールを、表は作れたが何から直すか決めかねているなら相談するからお知らせください。
参考にした公式の説明
- アナリティクス ヘルプ:[GA4] データ探索の使用を開始する(変数、タブの設定、手法、共有、保持期間)
- アナリティクス ヘルプ:[GA4] 経路データ探索
- アナリティクス ヘルプ:[GA4] 自由形式のデータ探索
- アナリティクス ヘルプ:[GA4] 閲覧開始数と離脱数
- アナリティクス ヘルプ:[GA4] 拡張計測機能(form_start)
- アナリティクス ヘルプ:[GA4] デフォルト チャネル グループ
- アナリティクス ヘルプ:[GA4] データの保持
※画面の名前と手順は、2026年10月時点のGoogleのヘルプによるものです。GA4の画面は変わることがあります。