司法書士事務所のホームページ:集客の入口ごとに要るページと報酬の載せ方

司法書士事務所のホームページを作る、または作り直すときに決めることは、大きく三つです。どのページを置くか、報酬をどう載せるか、広告の決まりのどこに気をつけるか。この記事は、その三つを、依頼する人がどこから来て、サイトのどこを見て事務所を決めるのか、という順にたどって整理したものです。

材料は、当社が2026年9月24日に岡山市、富山市、甲府市で検索結果の1ページ目と地元の20事務所のサイトを同じ項目で数えた記録、法務省・国税庁・日本司法書士会連合会の公開資料、司法書士法と施行規則の条文です。どの言葉で検索の上位に出るかという話は司法書士のホームページ集客:3つの市で検索結果と20事務所のサイトを数えたに書いたので、ここではサイトの作りに絞ります。

この記事の結論

  • 司法書士への依頼は、相続、住所の変更や抵当権の抹消、売買の決済、会社の登記、成年後見、債務整理と、入口ごとに来る人が違います。検索で見つけてもらうページより、紹介や公の窓口を経て事務所を「確かめに来る人」に答えるページのほうが、多くの入口で働くと当社は見ています。
  • 依頼する人が確かめるのは、報酬の中身、自分の用件を扱っているか、遠方からでも頼めるか、誰が担当するか、です。日本司法書士会連合会の「司法書士検索」で確かめられる項目と、サイトの表記をそろえておきます。
  • 報酬は、報酬・登録免許税・実費を分け、加算の条件まで文字で書きます。三つの市の20事務所で、金額を載せていたのは11、何を含みどういうときに加算されるかまで書いていたのは少なくとも5でした。
  • 2024年に相続登記、2026年に住所等変更登記が義務になりました。20事務所のうち、2026年の義務化に触れていたのは0でした。

入口ごとに、来る人とサイトの役割が違う

司法書士への依頼のきっかけは一つではありません。当社が三つの市で数えた1ページ目の顔ぶれと合わせると、次のように分かれます。「来る人」と「サイトの役割」の列は、数えた結果から組み立てた当社の見立てです。

入口1ページ目で見えたこと(3市、2026年9月24日)来る人サイトの役割
相続登記・遺言「市名 相続登記」の上位に法務局と市のページ。地元の事務所は、本体と相続の専用サイトの二つで枠を重ねていた相続人本人。県外に住む人も報酬の中身と、遠方から頼む流れを示す
住所の変更・抵当権の抹消三つの市とも、地元の司法書士事務所は0件。法務局の案内と、全国向けの「自分でやる方法」が並ぶ自分でできるか迷っている人自分でできる場合と、頼んだほうがよい場合の分かれ目を示す
不動産の売買・住宅ローン今回は検索していない不動産会社や金融機関の担当者と、その紹介を受けた人紹介された人が事務所を確かめる場所になる
会社・法人の登記「市名 会社設立 登記」で地元の司法書士は27件中2件。全国の設立サービスと他の士業が先に並ぶ起業する人、顧問の税理士から紹介された人扱う登記と報酬、他の士業との分担を示す
成年後見9件中7〜8件が家庭裁判所などの公のページ家族、福祉の担当者手引きの先で、頼んだ場合に事務所が担う役割を示す
債務整理今回は検索していない借入れに悩む本人扱える範囲(140万円の上限)を先に示す

三つの市の1ページ目は、延べ244件のうち94件が、法務局、市、家庭裁判所、司法書士会といった公のページでした。手続きの名前で探すと、手続きの窓口が先に出ます。表の右の列を見ると、検索で見つけてもらうことが主な役割になるのは上の二つの行くらいで、残りの入口では、紹介や公の案内を経た人が、最後に事務所の名前で検索して確かめに来ます。

サイトの作りは「どの言葉で上に出るか」と「来た人が何を確かめて決めるか」の二つで考えますが、司法書士の場合は後者の比重が大きい、と当社は考えています。紹介で来た人は、すでに候補を一つか二つに絞っています。その人がサイトを開いて答えを見つけられなければ、紹介はそこで止まります。

「司法書士 選び方」「評判」で探す人が見ているところ

依頼する側の検索も見ておきます。2026年10月2日に当社が「司法書士 おすすめ 選び方」で検索すると、上位には比較サイトの事務所一覧と、相続を頼む司法書士の選び方を解説する記事が並びました。当社が開いた選び方の記事の一つは、相続の実績、口コミや評判、税理士や弁護士との連携、担当者との相性、説明の分かりやすさ、事務所の立地、費用の明確さの七つを挙げ、そのうち実績、連携、立地、費用は事務所のホームページで確かめるよう勧めていました。

比較サイトで候補を絞った人も、紹介で名前を聞いた人も、最後は事務所のサイトでこうした点を確かめに来ると当社は見ています。サイトの側から言い換えると、次の四つに答えるページがあるかどうかです。

報酬:いくらで、何が含まれ、どういうときに上がるか

いちばん具体的に確かめられる点で、比べる人が最初に開くページです。書き方は後の見出しにまとめます。

用件:自分の用件を扱っているか、遠方からでも頼めるか

「相続」と一語で並べるより、相続登記、遺言、相続放棄の書類作成、成年後見と、扱う用件を分けて書いてあるほうが、自分の用件が入っているかを判断できます。相続登記を頼む人は、商圏の中に住んでいるとはかぎりません。富山で事例とお客様の声を載せていた事務所では、どちらも県外に住む相続人が、富山にある親の不動産の相続登記を頼んだ話でした。

人:誰が担当し、その人は確かに司法書士か

日本司法書士会連合会のサイトには、一般の人が使える「司法書士検索」があり、司法書士は氏名、事務所所在地、事務所電話番号、事務所名称、簡裁代理権の有無で調べられると案内されています。評判を調べる人のなかには、ここで事務所を確かめる人もいるはずです。サイトの事務所名、所在地、電話番号を登録の内容とそろえ、司法書士の氏名、所属の会、登録番号を事務所案内のページに書いておくと、確かめる人が迷いません。簡裁訴訟代理等関係業務の認定を受けているかどうかは、後に書く債務整理のページとも関わります。

評判:口コミとお客様の声は、守秘義務の内側で書く

「司法書士 評判」で探す人がまず目にするのは、地図に並ぶGoogleの口コミだろうと当社は見ています。口コミに返信するときに気をつけたいのは、司法書士法第24条の秘密を守る義務です。条文は「業務上取り扱つた事件について知ることのできた秘密を他に漏らしてはならない」としています。返信の中で依頼の中身に触れないのはもちろん、その人が依頼者だったと読み取れる書き方も避け、お礼と一般的な説明にとどめる形を、事務所の中で先に決めておくと迷いません。口コミの集め方とGoogleの決まりはGoogleマップ集客とビジネスプロフィール運用に書きました。

自分のサイトに載せるお客様の声と事例は、所属の会の規則に沿います。当社が読んだ福岡県司法書士会の規則(令和6年10月1日の改正までを含む版)は、過去の事件の表示を、依頼者の書面の同意がある場合か、依頼者が特定されず利益を損なうおそれがない場合に限っています。20事務所で、お客様の声を載せていたのは6、事例は4でした。選び方の記事が見るよう勧める「実績の件数」も、書くなら数えた記録を残しておくことが前提です。規則の読み方は司法書士の広告規則:ホームページで書けること、避けることにまとめています。

作る・作り直すときに置くページ

上の四つに答えるために、当社が司法書士事務所のサイトに置きたいと考えるページです。扱っていない業務のページは要りません。上から順に優先します。

  1. 報酬:用件ごとの報酬、登録免許税と実費の分け方、加算の条件、モデルケース。次の見出しで詳しく書きます。
  2. 用件ごとのページ:相続登記、住所・氏名の変更の登記、抵当権の抹消、売買・贈与、会社の登記、遺言、成年後見など、扱う用件ごとに一枚。それぞれに、期限、必要な書類、かかる日数、報酬を書きます。抵当権の抹消や住所の変更のように法務局が手順を案内している用件は、ご自身で手続きできる場合があることも書き、そのうえで頼んだほうがよい場合(たとえば、書類がそろわない、過去の住所のつながりを示しにくい、相続も絡んでいる)を示します。三つの市で、地元の事務所が誰も答えていなかったのは、この種の言葉でした。
  3. 遠方からのご依頼:郵送やオンライン申請で進める流れ、書類のやりとり、本人確認と意思確認の方法。ただし、面談が要らないかのような書き方は、山形県司法書士会の運用指針が問題のある表示の例に挙げています。どう本人と意思を確かめるのかを、所属の会の規程に沿って具体的に書くほうが、遠方の人には判断の材料になります。
  4. 事務所と司法書士:氏名、所属の会、登録番号、簡裁代理権の有無、所在地と地図、他の士業との分担(相続税は税理士、争いがあれば弁護士、といった線引き)。
  5. 不動産会社・金融機関の方へ:決済に立ち会える地域と曜日、連絡の窓口、書類の受け渡しの方法。売買の決済は紹介で回る仕事だと当社は見ていて、担当者や紹介を受けた人が事務所を確かめるための一枚です。紹介へのお礼を匂わせる書き方は入れません。山形の運用指針は紹介料を法令等に反する例に挙げ、司法書士法施行規則第26条は不当な手段で依頼を誘致することを禁じています。
  6. 債務整理(扱う場合):扱える額に上限があることを先に書きます。司法書士法第3条は、簡易裁判所での代理を、法務大臣の認定を受けた司法書士に限り、訴訟の目的の価額が裁判所法第33条第1項第1号の額を超えないものとしています。その額は140万円です。上限を超える場合にどうするか(弁護士への引き継ぎなど)まで書いておくと、相談に来た人が途中で行き場を失いません。
  7. よくある質問と問い合わせ:相談料の条件(初回だけか、何分までか)、受付の時間、返信の目安。20事務所のうち、少なくとも14が相談に費用がかからないと書き、そのうち少なくとも6は初回や時間の条件を書いていませんでした。
  8. お知らせ・読み物:制度が変わったときに書き足す場所。20事務所で、2026年に入ってから読み物を出していたのは2でした。

相続の用件だけを別のドメインの専用サイトに分ける形は、三つの市のどこでも見られ、検索の枠を重ねて取っていました。ただ、同じ事務所の本体と専用サイトで相談料の書き方が食い違って見える例もありました。分けるなら、報酬、相談料、事務所の表示を二か所で同じに保つ手間まで見込んでおきます。

報酬の載せ方:報酬・登録免許税・実費を分け、加算の条件まで書く

先に決まりです。司法書士法施行規則第22条は、依頼を受けようとするときは、あらかじめ「報酬額の算定の方法その他の報酬の基準を示さなければならない」と定めています。日本司法書士会連合会の「司法書士の報酬」のページは、報酬は各司法書士が自由に定めるもので、会則では額や算定方法・諸費用を明示し、依頼者との合意によって決めることになっている、と説明しています。ホームページへの掲載を義務づける条文ではありませんが、相談の場で示している基準を、そのまま文字にしておけば、比べる人の材料になります。

同じページには、連合会が2024年3月に行った報酬アンケートの結果が掲げられていて、依頼する人はそこから全国の傾向を見ることができます。当社は結果の資料を読み込めておらず、この記事ではその数字を使っていません。

三つの市の20事務所では、金額を載せていたのが11でした。相続登記の金額は4万円弱から11万円ほどまで開いていましたが、報酬だけの額もあれば、戸籍の収集や遺産分割協議書の作成を含む額もあり、何を含み、どういうときに加算されるかまで書いていたのは少なくとも5です。比べる人から見ると、この幅は比べようのない幅です。当社が勧めるのは、表を三つに分ける書き方です。

区分中身書き方の例
報酬司法書士の仕事への対価相続登記(不動産一つ、相続人二人まで、遺産分割協議書の作成を含む)◯円。不動産が一つ増えるごとに◯円、管轄の法務局が増えるごとに◯円
登録免許税国に納める税相続による所有権の移転は、不動産の価額の1,000分の4。固定資産の評価額をもとに計算します
実費戸籍などの証明書の取得費、郵送費実際にかかった額。おおよその目安を添える

登録免許税は事務所の値付けとは関係なく決まります。国税庁の税額表(令和8年4月1日現在の法令による)では、相続による所有権の移転登記の税率は1,000分の4で、令和9年3月31日までは、課税標準となる不動産の価額が100万円以下の土地については課されない措置もあります。税を報酬と混ぜて「総額◯円から」と書くと、比べる人には事務所の取り分が見えません。

そのうえで、二つか三つのモデルケースを置きます。「親が亡くなり、自宅の土地と建物を子二人のうち一人が相続する。協議書は事務所で作る」のように場面を決め、報酬・税・実費のそれぞれと合計まで書く形です。避けたいのは「地域最安」「他の事務所の見積より下げます」といった書き方で、山形の運用指針に例として挙がっています。金額は画像やPDFにせず、文字で書いておきます。

義務化で増えた用件を、サイトのどこに書くか

法務省の案内によれば、相続登記は2024年4月1日から義務になり、相続したことを知った日から3年以内に登記します。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料が科される可能性があり、2024年4月1日より前に相続したことを知った不動産は、2027年3月31日までが期限です。住所や氏名・名称の変更の登記は2026年4月1日から義務になり、変更の日から2年以内に登記します。違反には5万円以下の過料が科される可能性があり、義務化の前に変更があった場合は2028年3月末までに登記する必要があります。

20事務所のうち、相続登記の義務化に触れていたのは10、住所等変更登記の義務化は0でした。2026年の義務化は、まだ三つの市のどの事務所のサイトにも、用件として入っていません。

書くときの順番は、期限と手順を先に、過料は事実として添えるほうが無理がないと当社は考えています。不安をあおる広告は、当社が読んだ福岡と山形のどちらの会の資料でも禁じられています。

もう一つ、住所等の変更については、法務省が、かんたん・無料の手続をしておけば、その後は法務局で住所や氏名・名称の変更登記をする仕組み(スマート変更登記)を案内しています。事務所に頼まなくてよい人がいることを書くのは損に見えるかもしれません。それでも、それを書いたうえで、頼んだほうがよい場面を示すページのほうが、読んだ人には信じやすいと当社は見ています。住民票の手続きと混ざりやすい点も含め、書き方は住所変更登記の義務化は、住民票の話と分けて書くに詳しく書きました。

作成や運用を外に頼むときに確かめること

業者に払うお金は、期間で決まる形にし、問い合わせや受任の件数、報酬の額に連動させない形を当社は勧めます。福岡の規則第5条は、ほかのサイトの開設者に広告を頼む場合に、正当な掲載料のほかに対価を払う形を認めておらず、施行規則第26条は不当な手段による依頼の誘致を禁じています。業者が書いた原稿も御事務所の広告として出るので、公開前に司法書士が読み、公開した画面と変えた画面を残しておきます。ドメインやサーバーの契約者が御事務所の名義になっているかも、作り直す前に確かめておくと、業者を替えるときに困りません。

当社は、司法書士の事務所には、成果に応じて上がる報酬ではなく、最初の十二か月と十三か月目以降で分けた、期間で決まる定額のプランを用意しています。問い合わせの件数は毎月数えてご報告しますが、報酬の額には結びつけません(料金)。

御事務所で、今日確かめられること

  1. 日本司法書士会連合会の「司法書士検索」で御事務所を検索し、表示される事務所名称、所在地、電話番号、簡裁代理権の有無が、サイトの事務所案内と同じかを見ます。
  2. 報酬のページを開き、相続登記の金額が報酬だけなのか、登録免許税と実費を含むのかが一読で分かるか、加算の条件が書いてあるかを見ます。
  3. サイトの中で「住所変更」「2026年4月」を探し、住所等変更登記の義務化に触れたページがあるかを確かめます。なければ、用件ごとのページを足すときの最初の候補です。
  4. Googleの口コミへの返信を読み返し、依頼の中身や、その人が依頼者だったことが読み取れる返信がないかを見ます。
  5. 次の一か月、依頼のたびに、どこで御事務所を知り、サイトのどのページを見てから連絡したかを一行で残します。紹介で来た人がサイトの何を見ていたかが分かると、置くページの順番が決まります。

作る・作り直すときの費用の幅と、依頼先を選ぶ前に各会の広告規則で確かめることは、司法書士のホームページ制作の費用:作り方ごとの目安と、依頼先を選ぶときに広告規則で確かめることにまとめています。

出典