記事の公開前チェックは、誤字より先に「数字の出どころ」を見る

誤字は後で直せる。作った数字は、直しても読まれたあとに残る

記事を公開する前の確認というと、誤字脱字や言い回しの統一が思い浮かびます。当社も誤字は直します。ただ、公開前にいちばん時間をかけているのは、そこではありません。

先に見ているのは、その数字はどこから来たか、その一文は確かめたことか推測か、特定の誰かが分かってしまわないか、の三つです。

順番をこうしている理由は、間違えたときの取り返しのつき方が違うからです。誤字は、見つけた日に直せば、それで終わります。読んだ人も、たいていは気に留めていません。一方で、根拠のない数字や、確かめていない理由は、読んだ人の頭に残ります。後で記事を直しても、直す前に読んだ人の中では、その数字はそのままです。特定につながる細部はもっと重く、一度公開すれば、その相手に迷惑をかけたことは直しても消えません。

誤字の多い記事も信用を損なう、という考え方はもっともです。それでも、限られた時間でどちらを先に見るかと聞かれれば、当社は数字と推測と特定を先に見ます。誤字は誰が読んでも気づけますが、作られた数字は、書いた側が確かめないかぎり誰も気づかないからです。

その数字はどこから来たか

当社の記事に出てくる数字は、調べた記録か、自社のサイトで確かめたことにあるものだけです。記録にない数字は書かず、書きたいのに手元にないときは「手元にない」と書きます。数字を書くときは、いつ、何で確かめたかを本文に添えます。「2026年9月24日に当社のサイトで確かめた」「公開している数字からの計算値」といった書き方です。

もう一つ、計算を含む数字は、公開前に自分で計算し直します。記録にある数字でも、割ったり引いたりした結果は、記録には載っていないからです。

実際に直した例があります。当社が運営に関わる二つのサイトの閲覧の数字から、「ひと月に2枚以上読んだ人」がどのくらいいるかを見積もった記事で、下書きには「多くて三割」と書いていました。公開前に二つのサイトの分を計算し直すと、一方は三割ほどでしたが、もう一方は四割近くになりました。「多くて三割」では、片方のサイトにしか当てはまりません。そこで「三割から四割弱」に直しました。その記事には、何を前提にした上限なのかも書いてあります(PVとユーザー数はどちらを見るか)。

言い回しを少し変えただけの直しに見えるかもしれません。それでも気にするのは、都合のよい側へ丸めた数字が一つ見つかれば、ほかの数字も同じように丸めてあるのではと疑われるからです。数字の出どころを添えておくのは、読む人に確かめる道を残すためでもあります。

その一文は、確かめたことか推測か

数字ほど目立ちませんが、同じくらい気をつけているのが、理由を述べる一文です。「〜だから」「〜のため」と書いた箇所は、その理由を確かめたのか、書きながら補ったのかを一つずつ見直します。

これも実際に消した一文があります。当社のトップページと固定ページがなぜ手組みの作りなのかを書いた記事で、「テーマでは表せなかったから」という理由を書いていました。筋は通って見えますが、事実として確かめたことではなく、書く途中で補った理由でした。公開前にその一文を消し、当社が実際に払っている手間のほうだけを残しました(制作会社しか直せないのはページごとに作られているから)。

推測の一文は、書いているときほど自然に出てきます。前後の流れをなめらかにしてくれるからです。だから当社は、読み返しの感覚には頼らず、文字で探します。「必ず」「絶対」「確実に」のような、根拠のない断定につながる言葉は、公開前に本文を文字列で検索し、一つでも出てきたら、その文を書き直すか消します。探す言葉を決めておけば、読み返しの疲れで見落とすことがありません。

特定の誰かが分かってしまわないか

当社の記事には、実際に検索結果を数えたり、地元の事業者のサイトを同じ項目で並べたりした観察がよく出てきます。そのとき、事業者名や事務所名は本文に出しません。

これは気をつけているつもりでも漏れます。そこで、調べたときに記録した名前の一覧を手元に置き、その一覧の名前が本文に一つでも残っていないかを、一件ずつ文字で突き合わせて探しています。目で読んで探すより、一覧と機械的に照らすほうが確かです。

ただ、名前を消すだけでは足りませんでした。直した例を二つ挙げます。

一つは、調べたサイトの欠点を引用しかけた箇所です。ある業種の地元のサイトを並べたとき、証明書のエラー(安全な接続ができないという警告)が出るサイトや、閉鎖の予告を出しているサイトがありました。観察としては面白い材料ですが、同じ地域で同じ業種を探せば、どこのことか分かってしまいます。名前を出していなくても、欠点を書けばその相手の不利になるので、消しました。

もう一つは、業種の記事で使いかけた、特徴的な数字です。そのサイトだけが持っている実績の数を書くと、その数字で検索すれば事業者が出てきます。名前を消しても、数字が名前の代わりになるということです。これも消しました。

お客様の事例を書くときも、同じことが起きます。業種と地域と規模を並べただけで、地元の人には誰のことか分かる場合があります。名前を伏せたかどうかではなく、その組み合わせで一社に絞れてしまわないかを見てください。

公開したら、公開画面で見出しとリンクを見る

最後に、リンクと表示の確認です。本文に張ったリンクは、公開前に、リンク先のページが実在するかを一本ずつ確かめます。下書きに戻したページや、まだ公開していないページへのリンクが残っていれば、読んだ人は行き止まりに着きます。そして公開したあと、編集画面ではなく公開されている画面で、見出しの並びとリンクをもう一度開いて確かめます。編集画面で正しく見えていても、公開画面で崩れていることがあるからです。

御社の記事で、今日できる確かめ方があります。自社で書いたものでも、頼んで書いてもらったものでもかまいません。

  1. 直近に公開した記事を一本開きます。
  2. 本文に出てくる数字に、印を付けながら数えます。件数、割合、年数、金額など、すべてです。
  3. 印を付けた数字のうち、「いつ」「何で」確かめたかが本文に書いてあるものと、書いていないものに分けます。
  4. 書いていない数字について、その出どころを今すぐ言えるかを一つずつ考えます。

出どころを言えない数字が一つでもあれば、その記事は、誤字を探す前に、その数字を消すか出どころを書き添えるところから直してください。