WordPressは、本体・テーマ・プラグインを更新している間、サイトを開いた人に「メンテナンス中」の表示を自動で出します。英語の画面では “Briefly unavailable for scheduled maintenance. Check back in a minute.”(定期メンテナンスのため一時的に利用できません。少ししてからもう一度確かめてください、という意味)という文です。日本語の画面での言い回しは版や翻訳の更新によって違い、「現在メンテナンス中のため、しばらくの間ご利用いただけません。」「メンテナンスのため一時的に利用できません」のような文で出ます。どの文でも、仕組みと直し方は同じです。更新が終われば自動で消えるので、更新ボタンを押した直後なら、数分待てば元に戻ります。
待っても消えないときは、サイトの一番上のフォルダ(wp-config.php と同じ場所)にある「.maintenance」というファイルを削除します。WordPress.org の公式ドキュメントも、更新のあとにこの表示が残った場合は、FTPでつないで .maintenance を削除するよう書いています。削除したら、途中で止まった更新がないかを管理画面で確かめてください。
この表示が出る仕組み:.maintenance ファイル
WordPressは、更新を始めるときに、サイトの一番上のフォルダへ .maintenance という小さなファイルを置き、そこに更新を始めた時刻を書き込みます。このファイルがある間、サイトを開いた人には、ページの代わりにメンテナンスの表示を返します。更新が終わると、WordPressがファイルを消し、表示も消えます。
開発者向けの公式の説明によると、このときWordPressが返すのは「503」という応答です。サイトが一時的に使えないことを伝える番号で、「600秒たったらもう一度来てください」という合図も一緒に送っています。検索エンジンにも「今は一時的に休んでいるだけ」と伝わる返し方です。
表示が残るのは、更新の途中で処理が止まり、WordPressがファイルを消す前に終わってしまったときです。たくさんのプラグインをまとめて更新したとき、サーバーの処理が時間切れになったとき、通信が途切れたときなどに起こります。
放っておいてよいか:待つ時間の目安と判断
開発者向けの公式の説明(wp_is_maintenance_mode)によると、WordPressは .maintenance に書かれた時刻から10分以上たつと、ファイルが残っていてもメンテナンスは終わったものとして扱います。つまり、WordPressの仕組みとしての表示は、長くても10分ほどで出なくなるはずです。これを踏まえて、次のように判断します。
| 状況 | 判断 | やること |
|---|---|---|
| 更新を押して数分以内 | 待ってよい | 更新の画面を閉じずに待つ |
| 数分たっても消えない | 直す | .maintenance を削除する |
| .maintenance を消しても出る | 別の原因 | 消したフォルダ、キャッシュ、プラグインを疑う |
| 表示は消えたが、真っ白・重大なエラー | 直す | 止まったプラグインを探す |
| 自分には普通に見え、ほかの人には出る | 意図した表示かも | メンテナンス用プラグインの設定を見る |
10分を待たずに .maintenance を消しても構いません。ただし、更新がまだ動いている最中に消すと、更新途中のサイトがそのまま見えてしまいます。更新の画面に「完了」などの表示が出ていない間は、数分待ってから消してください。
三行目のように、.maintenance を消したのに同じ表示が出続ける場合は、次の三つを疑います。①消したのが別のフォルダのファイルだった(WordPressをサブフォルダに入れているサイトでは、.maintenance もそのフォルダの中にあります)。②キャッシュ系のプラグインやCDN(ページの控えを各地に置いて配る仕組み)が、メンテナンス中の画面を控えとして覚えている。③メンテナンス用のプラグインが有効になっている(この場合、出る文言はプラグインが用意した画面のものです)。キャッシュの見分け方と消し方はWordPressで変更が反映されないときにまとめました。
表示が消えないときの直し方:.maintenance を削除する
この表示が出ている間は、管理画面にも入れないことがあります。そのため、作業はサーバーのファイルを直接触る形になります。
- サーバー会社の管理画面にあるファイル管理の機能(「ファイルマネージャー」などの名前)か、FTPソフト(サーバーとファイルをやり取りする道具)でサーバーにつなぎます。
- WordPressを入れたフォルダを開きます。wp-admin、wp-content、wp-includes の三つのフォルダと、wp-config.php が並んでいる場所です。
- 「.」で始まる名前のファイルは隠しファイルとして扱われ、初めは一覧に出ないことがあります。ファイル管理の画面やFTPソフトの設定で、隠しファイルを表示するようにします。
- 「.maintenance」を選んで削除します。すぐ近くにある「.htaccess」は、サーバーの動きを決める大事な設定ファイルです。名前が似ているので、間違えて消さないでください。
- ブラウザでサイトを開き直します。まだ表示が残って見えるときは、キャッシュを無視して再読み込みします(Windowsは Shift+F5 か Ctrl+Shift+R、Macは ⌘+Shift+R)。
サーバーにSSH(コマンドでサーバーを操作する接続)で入れて、WP-CLI(WordPressをコマンドで操作する道具)が使える場合は、公式のコマンド「wp maintenance-mode deactivate」でもメンテナンスを解除できます。
サーバーの管理画面やFTPの接続情報が分からないときは、サイトを作った制作会社か、保守を頼んでいる会社に連絡するのが早道です。誰も分からない状態なら、今回の件が片づいたあとに、サーバー・ドメイン・管理画面の名義と入り方を整理しておくことを勧めます(ホームページを引き継ぐ前に)。
消したあとに確かめること:更新が途中で止まっていないか
.maintenance が残っていたということは、どこかの更新が最後まで終わらなかった、ということです。表示が消えたら、次の順に確かめます。
- 管理画面の「ダッシュボード」→「更新」を開き、まだ残っている更新がないかを見ます。
- 「プラグイン」の一覧を開き、無効になっているもの、一覧から消えているもの、エラーの表示が出ているものがないかを見ます。
- 残っている更新は、一つずつ実行し、そのたびにサイトを開いて表示を確かめます。まとめて更新し直すと、また同じところで止まることがあります。
- トップ、よく読まれている記事、問い合わせページを開き、問い合わせフォームから一通送って、届くかを確かめます。
WordPress 6.3 以降には、管理画面から手動で更新したプラグインやテーマの更新が失敗したとき、元の版を一時的に退避しておき、自動で元に戻す仕組みが入っています(WordPress の開発チームの告知による)。それでも、すべての止まり方で働くわけではないので、一覧を自分の目で見るのが確実です。
表示が消えた代わりに画面が真っ白になった、「このサイトで重大なエラーが発生しました」と出た、という場合は、更新が途中で止まったプラグインやテーマが原因のことが多いです。直し方はWordPressが真っ白・重大なエラーと出たときに、管理画面に入れなくなった場合はWordPressにログインできないときにまとめました。WordPress本体の更新が途中で止まったときは、公式ドキュメントが手動での更新を案内しています。
自分でメンテナンス表示を出したいとき
サイトの作り直しや移転の間、訪問者にメンテナンスの表示を出したい、という場合もあります。その前に、本当にサイト全体を止める必要があるかを考えてください。止めている間は、問い合わせフォームも使えません。
- ページの作り直し:新しいページを下書きで作り、できたら差し替える形にすれば、止めずに済みます。当社も自社の固定ページの見た目を作り直したとき(2026年10月)、差し替え前の版にWordPressの「リビジョン」(保存した版の履歴)から戻せるようにしてから作業しました。
- サーバーの移転:新しいサーバーで動作を確かめてからDNSを切り替えれば、止めずに移せます(WordPressの引っ越し(サーバー移行))。
それでも止める場合の方法は、主に次の三つです。
| 方法 | 向いている場合 | 気をつけること |
|---|---|---|
| メンテナンス用のプラグイン | 管理画面から手軽に出したい | 503で返す設定があるかを見る |
| WP-CLI のコマンド | SSHで作業できる | 終わったら解除を忘れない |
| maintenance.php を置く | 自動の表示の見た目を変えたい | 本体のメンテナンス表示だけが変わる |
maintenance.php は、wp-content のフォルダに置くと、WordPress本体が出すメンテナンスの表示(更新中など)を、その中身に差し替えるためのファイルです(公式の説明による)。表示を出すかどうかを決めるものではなく、見た目を変えるだけです。
メンテナンス用のプラグインとしては、たとえば WordPress.org で公開されている次のものがあります。
- Maintenance(WebFactory):説明によると、WordPressにログインしている人には通常どおりサイトが見え、訪問者にはメンテナンスの画面が出ます。「503 Service Temporarily Unavailable」の設定を有効にしたときだけ、検索エンジンからもサイトが見えなくなる、とされています。
- LightStart – Maintenance Mode, Coming Soon and Landing Page Builder(Themeisle):十分な権限を持つ登録ユーザーだけがサイトを見られる形で、メンテナンスや近日公開の画面を出します。
どの方法でも、気をつけることは共通です。
- 止める期間は短くする。Googleは、503でサイト全体を止めることについて、長くても2〜3日の、非常に短い期間だけに使う最終手段だとしています。それより長く止めると、検索での扱いに大きく響くおそれがある、とも書いています。
- メンテナンスの画面に、連絡先と再開の目安を書く。フォームが使えない間に問い合わせたい人のために、電話番号やメールアドレス、いつ再開するかを載せます。
- 解除を、ログアウトした画面で確かめる。メンテナンス用のプラグインは、ログインしている自分には普通のサイトを見せます。解除し忘れても自分では気づきにくいので、終わったらシークレットウィンドウやスマホで開いて確かめます。
「近日公開(Coming Soon)」の画面は、まだ公開していない新しいサイトのためのものです。すでに検索から人が来ているサイトを止めるときは、メンテナンスとして503で返す設定を選びます。
同じことを起こさないために:更新の前と、更新のしかた
この表示が残るのは、更新が途中で止まったときです。止まったときに慌てないための準備と、止まりにくい更新のしかたがあります。
- 更新の前にバックアップを取る。公式ドキュメントも、更新を始める前にサイトのバックアップを取るよう勧めています。戻せる状態があれば、止まっても落ち着いて直せます(WordPressのバックアップ方法)。
- まとめて更新しない。プラグインは一つずつ更新し、そのたびに表示を確かめます。どれで止まったかがすぐに分かります。
- アクセスと問い合わせの少ない時間に更新する。万一止まっても、見られる人が少なくて済みます。
- サーバーとFTPの入り方を、すぐ分かる場所に控えておく。この表示の直し方は、管理画面の外での作業です。
本体・テーマ・プラグインを更新する順番と、自動更新の決め方はWordPressのアップデート手順にまとめました。更新を誰が、どのくらいの頻度で見るかを決めておくのが保守の仕事です。保守の費用に何が含まれているかはホームページの保守費を払っても問い合わせが増えないのはで確かめ方を書いています。
当社は、ホームページの運営に加わり、問い合わせが来るところまでを引き受けています。更新が止まってサイトが見られない時間は、そのまま問い合わせを受けられない時間です。更新の作業を自社で抱えきれない、誰が見るのか決まっていない、という場合は、相談するから今の状況をお知らせください。
参考にした公式の説明
- WordPress.org「Common WordPress Errors」(英語。「Maintenance Mode Following Upgrade」の項)
- WordPress Developer Resources「wp_is_maintenance_mode()」(英語)
- WordPress Developer Resources「wp_maintenance()」(英語)
- WP-CLI「wp maintenance-mode」(英語)
- Make WordPress Core「New in 6.3: Rollback for failed manual plugin and theme updates」(英語)
- WordPress.org「Upgrading WordPress」(英語)
- Google 検索セントラル「ウェブサイトを一時停止または無効化する」
- WordPress.org「Maintenance」(英語)
- WordPress.org「LightStart」(英語)
※仕組みと手順は、2026年10月8日に各公式の説明で確かめたものです。日本語の表示の言い回しは、WordPressの版や翻訳の更新で変わることがあります。