採用ページの作り方:中小企業の求人を見た人が応募前に確かめる項目と書き方

ハローワークや求人媒体に求人を出すと、求人票を見て気になった人が、応募の前に会社名で検索することがあります。求人票は欄と書式が決まっていて、職場の様子や通勤の事情、入ってから最初に何をするのかまでは書ききれないからです。検索して出てきたホームページに採用のページがない、あっても数年前の募集が残ったまま。そうなると、求人票では気になっていた人も、そこで手が止まります。

「採用ページ 作り方 中小企業」と検索すると、上位には代表メッセージ、社員インタビュー、デザインの事例を並べた解説が多く出てきます。当社が2026年10月3日に開いた上位の記事2本のうち、2024年4月の労働条件の明示の改正に触れていたのは1本で、ハローワークの求人と自社のページの関係、Googleの求人の構造化データには、どちらも触れていませんでした。この記事は、その部分を厚生労働省、ハローワーク、Googleの一次情報で確かめた範囲で書きます。

先に結論を書きます。

  • 採用ページは、求人票を見た人が応募の前に答え合わせをする場所だと当社は見ています。求人票と同じ条件を、求人票に書ききれない具体的な情報と一緒に置きます。
  • 載せる労働条件は、職業安定法で募集のときに明示する事項が基準です。2024年4月から、業務内容と就業場所の「変更の範囲」と、有期契約の更新の上限が加わりました。自社ホームページでの募集も対象です。
  • 求人の情報は正確かつ最新の内容に保つ義務があり、厚生労働省は「掲載した時点を明示する」ことを例に挙げています。ハローワークの求人票と採用ページの条件は、同じ日にそろえて直します。
  • Google検索の求人情報の表示は日本も対象で、JobPosting という構造化データで対応します。ただし、求人ごとのページに置く、そのページから応募できる、締め切った求人は外す、といった条件があります。少人数の募集なら、ページの本文を整えるのが先です。

求人票を見た人が、会社名で検索して確かめること

下の表は、求人票を見た人が会社名で検索したときに確かめたいことと、求人票の明示事項で分かること、採用ページで足せることを並べたものです。確かめたいことの選び方と、足せることの中身は当社の見立てです。

確かめたいこと求人票の明示事項で分かること採用ページで足せること
実在する会社か、何をしている会社か募集者の氏名または名称会社概要、事業の具体的な中身、職場や車両の写真
仕事の中身業務内容一日の流れ、最初の1か月で任せる仕事、使う道具や車
通えるか就業場所最寄り駅やバス停からの道のり、車通勤ができるか、駐車場、現場への直行直帰があるか
働き方就業時間、休日、時間外労働忙しい時期と落ち着いている時期、休みの取り方の実際
一緒に働く人(明示事項にはない)配属先の人数、誰に仕事を教わるか
応募したあと(明示事項にはない)選考の流れと結果までの日数、職場見学ができるか、連絡の手段

一つ目の「実在する会社か」は、取引の相手を探す人が会社概要で確かめることと重なります。名称や所在地の書き方、公の検索との照らし合わせは、ホームページの会社概要の書き方:問い合わせ前に確かめられる項目と業種ごとの表示に書きました。採用ページでは、そのうえで仕事と働き方の中身を足していきます。

採用ページに載せる労働条件:2024年4月からの明示事項

職業安定法と同法の施行規則では、ハローワークへの求人申込み、自社ホームページでの募集、求人広告の掲載のときに、労働条件を明示することになっています。2024年4月の改正で明示する事項が加わりました。厚生労働省のリーフレットの一覧と記載例をもとに表にします(出典:厚生労働省「2024年4月から、募集広告や職業紹介を受ける際に、求人企業などから明示される労働条件が追加されます」)。

明示する事項2024年4月に加わった点リーフレットの記載例
業務内容従事すべき業務の変更の範囲(雇入れ直後)法人営業 (変更の範囲)製造業務を除く当社業務全般
契約期間、契約の更新有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間または更新回数の上限を含む)―
試用期間――
就業場所就業場所の変更の範囲(雇入れ直後)大阪支社 (変更の範囲)本社および全国の支社、営業所
就業時間、休憩時間―9:30~18:30
休日―土日、祝日(年末年始を含む)
時間外労働―あり(月平均20時間)
賃金―月給25万円(ただし、試用期間中は月給20万円)
加入保険―雇用保険、労災保険、厚生年金、健康保険
受動喫煙防止措置―屋内禁煙
募集者の氏名または名称――

「―」は、リーフレットに追加の点や記載例がなかったものです。表の記載例は大きな会社を想定した例なので、自社の実情に当てはめて書き換えます。

変更の範囲は、「雇入れ直後」と並べて書く

リーフレットの例は、雇い入れた直後の業務や場所と、将来変わりうる範囲を並べて書く形です。ここからは当社の見立てです。事業所が一つで転勤がない会社や、配置換えの予定がない会社では、変更の範囲の欄そのものが、読む人にとって分かりやすい判断材料になります。地方の求人では、転勤があるかどうかを気にして応募をためらう人もいるからです。自社の実情をこの形に当てはめるときの書き方に迷う場合は、ハローワークの窓口や社会保険労務士に確かめてください。

固定残業代は、三つに分けて書く

固定残業代(残業の有無にかかわらず、決まった時間分の残業代を手当として払う仕組み)を採っている場合、リーフレットは次の三つに分けた記載例を示しています。

  1. 基本給 ●●円((2)の手当を除く額)
  2. ■■手当(時間外労働の有無に関わらず、●時間分の時間外手当として▲▲円を支給)
  3. ×時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給

「月給25万円(固定残業代含む)」とだけ書くと、基本給がいくらで、何時間分が含まれているのかが読む人には分かりません。採用ページでは、この三つを求人票と同じ数字で書きます。

書ききれないとき、途中で条件が変わるとき

リーフレットは、求人広告のスペースが足りないなどやむを得ない場合、「詳細は面談時にお伝えします」と付記したうえで、原則として面接など求職者と最初に接触する時点までに、すべての労働条件を明示するよう求めています。面接などの過程で、当初明示した条件が変わる場合は、変更の内容を明示する必要があります。

当社の見立てでは、ここが自社の採用ページの使いどころです。求人広告の枠と違い、自社のページには字数の制約がありません。広告で省いた事項を採用ページにすべて書いておけば、求人票を見て検索した人は、面接の前に全体を読めます。

いつ時点の条件かを書く

同じリーフレットは、募集企業が募集広告などで情報を提供する場合、掲載した時点を明示するなどして、正確かつ最新の内容に保つ義務があると書いています。採用ページの募集要項の冒頭に「2026年10月1日時点の募集内容です」のような一行を置き、条件を変えた日に日付も直します。募集を終えた職種は、ページから外すか「この職種の募集は終了しました」と書きます。古い条件が残ったページは、求人票と見比べた人には食い違いに見えます。

ハローワークの求人と、自社の採用ページの関係

ハローワークに申し込んだ求人は、全国のハローワークに置かれた端末と、ハローワークインターネットサービスで公開されます。ハローワークの事業主向けの案内では、同サービスの1日あたりのアクセス数は約240万件(令和5年度末)とされています。地方の中小企業にとって、求人票を見た人が最初に目にする場所の一つです。

求人の申込みは、事業所情報の登録(初回のみ)、求人情報の入力(仮登録)、ハローワークの窓口での内容確認、公開、応募、選考、採用という流れです。ハローワークに出向いて申し込むほか、会社のパソコンから事前に登録してハローワークで確認を受ける方法もあります(出典:ハローワークインターネットサービス「求人申込み手続きの流れ」)。

自社の採用ページとの関係で知っておきたいのは、次の二点です。

  • 事業所名を含めて求人情報を公開するかどうかは、求人者の希望に応じて選べます。事業所名を出していなければ、求人票を見た人は会社名で検索できません。採用ページが役に立つのは、事業所名を出して公開している場合です。
  • 求人者マイページを開設していると、求職者がマイページを通じて直接応募する「オンライン自主応募」を受け付けられます。ハローワークの紹介ではないため紹介状は発行されず、この方法で応募した人を採用しても、ハローワークなどの職業紹介を要件とする助成金などの対象にはならない、と案内されています。マイページを開設していない場合や、事業所名を含めた求人情報を公開していない場合などは受け付けられません。

ここからは当社の見立てです。ハローワークの求人票と採用ページは、条件の文言と数字を同じにしておきます。どちらか一方だけを直すと、両方を見た人には、どちらが正しいのか分からなくなります。採用ページには、ハローワークにも同じ求人を出していることと求人番号を書いておくと、紹介を受けて応募したい人が窓口で求人を伝えやすくなります。助成金の利用を考えている場合は、応募の経路が要件に関わることがあるので、応募の受け方を決める前に窓口で確かめてください。

地方の中小企業が、採用ページに書ける具体的な情報

中小企業基盤整備機構の「ホームページの求人情報を強化して、自社にぴったりの人材を獲得」は、経営者や採用担当者のメッセージ、勤務の実績(残業や休日出勤)、選考の流れ、よくある質問などを載せる内容として挙げています。当社の見立てでは、少人数の会社は作り込んだインタビューより、確かめられる事実を短く並べるほうが書きやすく、読む人にとっても他社と比べやすくなります。

  • 通勤:最寄り駅やバス停から歩いて何分か、車通勤ができるか、駐車場があって費用はかかるか。現場の仕事なら、直行直帰があるか、社用車を使うか。
  • 一日の流れ:何時に来て、朝に何をして、昼はどこで食べ、何時ごろに帰るのか。季節で変わるなら、その違い。
  • 最初の1か月:誰について、何から覚えるのか。資格を取る費用を会社が持つなら、その条件。
  • 忙しさと休み:明示事項の「月平均◯時間」に加えて、忙しくなる月と、そのときの残業の目安。休みの取り方について、社内で決まっていること。
  • 配属先:何人の部署か、誰に仕事を教わるのか。
  • 写真:実際の作業場、事務所、車両、休憩する場所。素材写真ではなく、自社で撮ったもの。
  • 選考:応募から結果が出るまでの日数、面接の回数、職場見学ができるか、履歴書が要るか。

仕事の中身は、お客様向けの施工事例や導入事例がそのまま説明になることがあります。「入社した人が最初に担当するのは、この規模の現場です」と事例ページへつなげば、読む人は仕事の大きさを具体的に思い描けます。事例ページの載せ方は事例ページの作り方:施工事例・お客様の声に載せる項目と同意・表示の決まりにまとめました。応募の前に電話で聞かれることが決まっているなら(「未経験でも応募できますか」「車の免許は要りますか」など)、採用ページの終わりに質問と答えの形で置いておくと、電話をかける前の迷いが一つ減ります。質問の選び方はよくある質問(FAQ)ページの作り方:電話で毎回聞かれることに先に答えると同じ考え方です。

応募の入口は、手間を減らし、聞かないことを決める

求人票を見て、夜に会社名で検索した人が、その場で応募や質問の連絡ができるかどうか。採用ページの終わりには、電話番号と受付時間、応募フォームかメールの宛先、応募のあと何日以内に誰から連絡が来るのかを書きます。当社の見立てでは、応募フォームの項目は、氏名、連絡先、希望する職種、連絡のつきやすい時間帯、質問の欄で足ります。経歴の詳しいことは、面接のときに履歴書で受け取れます。

聞かないことも決めておきます。厚生労働省の「公正な採用選考の基本」は、本籍・出生地、家族のこと(職業、続柄、健康、学歴、収入など)、住宅の状況、宗教、支持政党、尊敬する人物、購読新聞や愛読書などを把握することを、採用選考で配慮を求める事項として挙げています(出典:厚生労働省「公正な採用選考の基本」)。応募フォームの欄や、ページに書く「求める人物像」の文言に、こうした事項が入っていないかを確かめます。フォームの項目の決め方そのものは、問い合わせフォームの項目と作り方:地域の事業者・士業が最初に聞くこと、聞かないことにも書いています。

Google検索の求人情報と、JobPosting構造化データの現状

Google検索には、仕事を探している人に求人情報をまとめて表示する機能があります。自社の求人をその表示の対象にするために、ページに書き足すのが JobPosting という構造化データ(ページの内容を検索エンジンに決まった形で伝える記述)です。Google検索セントラルの説明(2026年9月8日更新の版)を確かめた範囲で並べます(出典:Google 検索セントラル「求人情報(JobPosting)の構造化データ」)。

項目Google検索セントラルの説明
利用できる地域アジアでは日本を含む国と地域が挙げられている
必須のプロパティdatePosted(掲載日)、description(仕事の説明)、hiringOrganization(採用する組織)、title(職種名)、jobLocation(勤務地)。完全在宅の求人は applicantLocationRequirements(応募者の居住地の条件)。締め切りがある求人は validThrough(締め切り日)も
主な推奨のプロパティbaseSalary(基本給)、employmentType(雇用形態)、identifier(採用する組織が付けた求人の識別番号)など
置く場所一つの求人を説明している最も詳しいページ。求人の一覧ページには置かない
応募の方法そのページから応募できること。ログインを求める求人は対象外
締め切った求人validThrough を過去の日付にする、ページを削除する、構造化データを外す、のいずれかを行う
Googleへの知らせ方求人ページのURLは、サイトマップより Indexing API を使うことを勧めている

ここからは当社の見立てです。年に1、2回、1人か2人を募集する会社なら、順番は、採用ページの本文に明示事項と具体的な情報を書く、職種ごとに1ページにする、そのあとで構造化データを足す、です。構造化データは、ページに書いてある内容を検索エンジンに伝えるためのもので、入れたからといって表示されるとは限りません。また、締め切った求人の構造化データを外す作業が募集のたびに発生します。誰が外すのかが決まっていないなら、入れずにおき、ページの日付と募集の終了の表示を確実に直すほうが、読む人にとっての食い違いは少なくなります。

WordPressのテーマや採用向けのプラグインが、すでに JobPosting を出力していることもあります。足す前に、Googleの「リッチリザルト テスト」に採用ページのアドレスを入れて、いま何が出ているかを確かめます。

採用ページの置き場所と、ほかのページとのつなぎ

会社名で検索した人が最初に着くのは、トップページか会社概要であることが多い、と当社は見ています。そこから採用のページへ、メニューとページの下部の両方からたどれるようにします。職種が複数あるなら、職種の一覧のページと、職種ごとのページに分けます。構造化データを足すときの「求人ごとのページ」という条件とも合います。募集をしていない時期も、ページを消さずに「現在、募集している職種はありません(2026年10月1日時点)」と書いておけば、検索した人は今は募集がないことを確かめられます。

採用ページは、お客様を集めるためのページとは読む人が違いますが、同じ会社名の検索から入ってくる点は同じです。検索、地図、紹介といった経路ごとにホームページが担う役割は、ホームページ集客の方法:検索・地図・広告・SNS・紹介でサイトが担う役割に書きました。

採用のページを含めてホームページを作るときの費用の目安と、業種ごとに載せる決まりは、建設会社のホームページ制作の費用と介護事業所のホームページ制作の費用にまとめています。

今日、自社で確かめられること

  1. スマートフォンで自社の会社名を検索し、採用のページにたどり着けるか、トップページや会社概要から何回で着くかを見ます。
  2. いま出している求人票(ハローワーク、求人媒体)と採用ページを並べ、賃金、就業時間、休日、時間外労働の数字と文言が同じかを見ます。
  3. 業務内容と就業場所に「変更の範囲」が書いてあるか、有期契約の募集なら更新の基準と上限が書いてあるか、固定残業代があるなら三つに分けて書いてあるかを見ます。
  4. 採用ページに、いつ時点の条件かの日付があるか、終わった募集が残っていないかを見ます。
  5. 応募フォームの欄と「求める人物像」に、本籍や家族のことなど、「公正な採用選考の基本」で配慮を求められている事項が入っていないかを見ます。
  6. ハローワークの求人を、事業所名を含めて公開しているか、オンライン自主応募を受け付ける設定かを、申し込んだときの内容で確かめます。