「料金はいくらですか」「うちの市まで来てもらえますか」「何を用意すればいいですか」。電話で毎回同じことを聞かれているなら、その答えはホームページに先に書いておけます。
この記事は、地方の中小事業者や士業の事務所が、よくある質問(FAQ)のページを作る、または作り直すときの手順を、質問の集め方、答えの書き方、ページの分け方、構造化データとAIの扱いの順に書いたものです。Google の扱いは、2026年10月に当社が公式の文書で確かめた範囲で書き、当社の見立てとは分けて書きます。
FAQページの作り方の結論:質問は記録から集め、答えは一文目で返す
FAQページは、質問を集める、答えを書く、一つのページにまとめるか分けるかを決めて置く、公開したあとに直す、の順で作ります。それぞれの要点は次のとおりで、手順の詳しい中身は下の1〜3と6の見出しに書きました。
- 質問は、作る側が想像して並べるのではなく、電話・メール・フォームの記録から、聞かれた回数の多い順に拾います。
- 答えは、一文目で結論(はい・いいえ、金額の幅、日数の幅、対応する市)を書き、そのあとに条件と例外を書きます。「お問い合わせください」だけの答えは置きません。
- 短い答えは一つのページにまとめ、答えが長いものや、その質問自体が検索されるものは独立したページにして、よくある質問からリンクします。
- FAQ の構造化データによる検索結果の表示は、Google の告知では2026年5月7日から表示されなくなっています。いまから費用をかけて入れる理由は薄いと当社は見ています。
- AI の回答に取り上げられるための特別な書き方は要らない、と Google は書いています。答えを本文のテキストで、事実として書いておくことが、通常の検索にも AI にも共通する土台です。
検索で上位に出てくる解説の多くは、よくある質問を「問い合わせを減らす」ための道具として説明しています。通販やソフトウェアのように、同じ質問が毎日何十件も届く会社なら、その説明が当てはまります。月に数件から数十件の問い合わせを受ける地域の会社では、事情が違うと当社は見ています。減らしたいのは問い合わせそのものではなく、料金を聞いて終わる電話や、対応地域の外からの相談のように、確かめるだけで終わるやり取りです。先に答えておけば、電話をかけてくる人は、自分が頼める相手だと分かったうえでかけてきます。答えを書けば合わない相談は減りますが、減ってよいかどうかは、件数ではなく面談に進んだ件数で見ます。その見方はホームページから問い合わせを増やす方法に書いています。
1. 質問は、電話とメールの記録から集める
よくある質問を作るとき、最初に手が止まるのは「何を載せるか」です。社内で思いつくまま並べると、営業時間や駐車場のように、すでにページのどこかに書いてあることや、実際にはあまり聞かれないことが並びがちです。お客が本当に聞いていることは、記録の中にあります。
集める場所は四つ
- 電話:受けた人が、聞かれたことをお客の言い方のまま一行で書きます。当社が配っている問い合わせの記録シートなら、「相談の内容(ひとこと)」と「メモ」の列がそのまま使えます。
- メールとフォーム:受信箱を半年ほどさかのぼり、本文の中の疑問文を書き出します。
- 面談や見積もりの場:最初の数分でいつも聞かれることを書き留めます。ページを読んだうえで来た人が、それでも聞くことは、ページに答えがないか、答えが見つけにくい質問です。
- 断られたとき:見積もりや面談のあとに断られた理由です。「思ったより高かった」「もっと早く終わると思っていた」は、先に幅を書いておけば、お互いに時間を使わずに済んだかもしれない質問です。
記録がないなら、今日から二週間から一か月ほど集めます。電話の横に紙を一枚置くだけでも足ります。
数えて、お客の言い方のまま並べる
集めた質問は、言い方が違っても中身が同じものをまとめ、回数を数えます。回数の多い順に並べ、最初の版は上から十前後で足りると当社は考えています。数が少ないほうが、読む人は目当ての質問を見つけやすく、作る側も答えの中身に手をかけられるからです。
このとき、質問の文はお客の言い方で書きます。社内では「相続登記」と呼んでいても、電話では「親の家の名義を変えたい」と言われるなら、見出しにするのは後者です。社内の呼び名と、お客が検索に打ち込む言葉がずれていると、ページを足してもアクセスにつながりにくいことは、ホームページのアクセスが増えないのは、記事の数のせいではありませんに書いています。
2. 答えの書き方:一文目で答え、条件と幅を添える
答えの形は、どの業種でもほぼ同じです。
- 一文目で答える(はい・いいえ、金額の幅、日数の幅、対応する市の名前)。
- 答えが変わる条件を書く(何によって金額や日数が変わるのか)。
- 例外を書く(対応できない場合、別料金になる場合)。
- 次にすることを書く(詳しいページへのリンク、電話の受付時間、用意してほしいもの)。
いちばん避けたいのは、「ケースによって異なりますので、お気軽にお問い合わせください」だけの答えです。質問を載せておきながら答えていないので、読んだ人は結局電話をかけるか、ほかのサイトを開くかのどちらかになります。金額や日数が案件ごとに違うのは当然で、だからこそ、何によって変わるのかと、よくある範囲の幅を書きます。
地元の事業者のサイトで、この幅が書かれていないことは珍しくありません。当社が2026年9月24日に地元の事業者のサイトを同じ項目で確かめた記録では、料金の目安を載せていた行政書士事務所は24中16でしたが、自社の注文住宅の価格を数字で示していた工務店は24社中3社でした。業種によって、書きやすさにはかなりの差があります。工務店のように一件ごとの差が大きい業種ほど、「何によって変わるか」を言葉で書く意味が大きいと当社は見ています。
業種ごとの例:料金・期間・対応地域・必要書類
| 業種 | 電話でよく聞かれること(例) | 答えに入れる事実 |
|---|---|---|
| 司法書士・行政書士・税理士などの士業 | いくらかかるか、どのくらいで終わるか、何を用意すればよいか | 報酬と実費(税金や役所の手数料など)を分けた金額の幅、着手から完了までの日数の幅と、役所の審査のように自社では縮められない期間、書類の一覧と取り寄せ先 |
| 工務店・リフォーム | 見積もりは無料か、工事中も住めるか、いつ頃始められるか | 無料の見積もりの範囲と有料になる場合、工事の種類ごとの工期の幅、着工までの待ち期間の目安 |
| 不動産会社 | 査定は無料か、売れるまでどのくらいかかるか、相続した家でも売れるか | 査定の方法、売り出しから引き渡しまでの流れと期間の幅、名義がまだ亡くなった方のままのときに先にすること |
| 学習塾 | 月謝はいくらか、途中から入れるか、どの学校の生徒が通っているか | 学年と科目ごとの月謝、教材費や季節講習の費用が別かどうか、入塾できる時期、通っている生徒の学校 |
| 小さな宿 | チェックインは何時までか、駐車場はあるか、子ども連れでもよいか | 時間と遅れるときの連絡先、台数と場所、年齢ごとの料金と設備 |
表の「よく聞かれること」は、当社の見立てによる例です。並べる順番は、御社の記録で数えた回数で決めてください。
対応地域の答えは、市の名前を地図の画像ではなく文字で書きます。「名古屋市内、および近隣の市町村」のような書き方では、読んだ人は自分の町が入るのかを判断できません。出向く地域と、来所やオンラインなら受ける地域が違うなら、それも分けて書きます。
公的な決まりがある質問は、出典を添える
士業の事務所には、制度そのものについての質問も来ます。そういう答えは自社の言葉だけで書かず、決まりの出どころを添えると、読んだ人が自分で確かめられます。たとえば司法書士事務所に「相続した家の名義変更は、しないといけないのですか」という質問が多いなら、法務省の説明に沿って次のように答えられます。
「はい。相続登記の申請は、2024年(令和6年)4月1日から義務になりました。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があり、正当な理由なく申請しない場合は、10万円以下の過料の対象になります。2024年4月1日より前に相続した不動産で、登記がまだのものも対象で、その場合は2027年(令和9年)3月31日までに申請する必要があります(出典:法務省『相続登記の申請義務化について』)。当事務所でお受けする場合の報酬の目安と、ご用意いただく書類は、料金のページに載せています。」
一文目で「はい」と答え、期限と罰則を数字で書き、出典を添え、最後に事務所のページへつないでいます。決まりが変わると答えも古くなるので、制度にかかわる答えには、いつの時点の情報かを書き添えておくと、読む人にも、直す側にも分かりやすくなります。
3. 一つのページにまとめるか、質問ごとにページを分けるか
これについて Google が決まりを示しているわけではありません。ここからは当社の判断の基準です。分け方は、その質問を誰が、どこで抱くかで決めています。
| 見るところ | まとめる(よくある質問のページに並べる) | 分ける(独立したページにして、よくある質問からリンクする) |
|---|---|---|
| 答えの長さ | 数行で答えられる | 表や手順が要り、数段落になる |
| 誰が読むか | すでに御社を候補にしている人 | まだ御社を知らない人も含む |
| 検索されるか | その質問で検索する人は少ない | 「市の名前と用件と費用」のように、質問そのものが検索される |
| 例 | 「カードで払えますか」「土曜も相談できますか」 | 「相続登記の費用はいくらか」「実家の建て替えに何か月かかるか」 |
分けた場合も、よくある質問のページには短い答えを一、二行残し、詳しいページへリンクします。一覧で探す人と、検索から直接そのページに来る人の両方が、同じ答えにたどり着けるようにするためです。質問そのものが検索されているかは、検索窓に言葉を入れたときに出る予測の候補や、Search Console(Google が無料で出している、自社のサイトが検索でどう見えているかを確かめる道具)の検索された言葉の一覧で、おおよその見当がつきます。
もう一つ、よくある質問は専用のページだけに置くものではありません。料金の質問は料金のページの下に、対応地域の質問は会社概要やアクセスのページの近くに置くと、その場で疑問を持った人がそのまま答えを読めます。同じ答えを二か所に書くなら、どこに何を書いたかを一覧にしておき、片方を直したときにもう一方を直し忘れないようにします。
見せ方では、質問を押すと答えが開く形(アコーディオン)がよく使われます。質問が多いときは一覧として見やすくなります。ただ、料金や対応地域のように多くの人が知りたい答えまで閉じてしまうと、開かれないまま読み飛ばされることがあります。当社なら、回数の多い上位の数問は開いたまま見せ、それ以外を閉じる形を選びます。
4. FAQ の構造化データ:Google 検索での表示は2026年5月に終わった
構造化データは、ページの内容を検索エンジンが読み取りやすい決まった形で書き添える記述です。よくある質問には FAQPage という型があり、以前の Google 検索では、これを入れたページの下に質問と答えが折りたたみで並ぶ表示(リッチリザルト)が出ていました。上位の解説には、今もこれを検索結果で目立つ方法として紹介しているものがあります。
Google の扱いは、二段階で変わっています。
- 2023年8月:Google 検索セントラル ブログ(Google のサイト運営者向けの公式ブログ)で、FAQ のリッチリザルトを、よく知られた信頼できる政府機関と保健医療のサイトに限って表示すると告知されました。それ以外のサイトでは、通常は表示されなくなりました。
- 2026年5月:Google 検索セントラルの更新履歴に、FAQ のリッチリザルトの機能を終了する告知が載り、2026年5月7日から Google 検索に表示されなくなるとされました。翌6月には、FAQ のリッチリザルトの説明文書が削除されています。
当社が2026年10月17日に確かめた時点で、Google 検索セントラルの FAQ の構造化データの説明ページは削除されていて、更新履歴に、FAQ のリッチリザルトはもう Google 検索の結果に表示されない、と書かれています。Google 検索で使える構造化データの種類の一覧にも、FAQ は載っていません(出典:Google 検索セントラル「検索に関するドキュメントの更新履歴」)。
ここからは当社の見立てです。これから FAQ の構造化データを入れるために費用をかける理由は、Google 検索での見え方という点では、ほとんどなくなりました。一方で、すでにテーマやプラグインが出力していて、その中身がページに表示されている質問と答えと一致しているなら、急いで外す理由も当社には見当たりません。Google は AI 機能についての文書で、構造化データを使うなら、ページに表示されているテキストと一致させるよう書いています。ページから消した質問が構造化データにだけ残っている、という状態は避けます。
業者から「よくある質問に構造化データを入れると、検索結果での表示が広がる」と案内されたら、その説明がいつの情報にもとづいているかを聞いてみてください。
5. AI の回答に、よくある質問は効くのか
Google は「AI 機能とウェブサイト」で、AI による概要や AI モードに表示されるための追加の要件はなく、特別な最適化も、特別な schema.org の構造化データも要らないと書いています。そのうえで、重要なコンテンツはテキスト形式で示すよう勧めています(出典:Google 検索セントラル「AI 機能とウェブサイト」)。
Microsoft は2026年2月、Bing Webmaster Tools に AI の回答での引用回数を見るレポートを加えた発表の中で、引用されやすくするための工夫の一つに、見出しや表、よくある質問で構成を分かりやすくすることを挙げています(出典:Bing Webmaster Blog)。OpenAI が公開している ChatGPT の検索についての文書には、当社が確かめた範囲では、よくある質問に触れた記述は見当たりませんでした。三社の文書の読み比べは、AIの検索で地域の会社が見つかるには:ホームページで今日からできることにまとめています。
当社の見立ては、よくある質問という形のページが AI に特別扱いされるわけではない、というものです。効くとすれば、料金の幅、対応する市、必要な書類といった事実が、テキストで、質問と答えの形ではっきり書かれていることのほうだと考えています。それは AI のためというより、読む人のために書くことと同じです。なお、AI の回答に自社の名前が出ることは、どの提供元も保証していません。
6. 公開したあとは、電話の記録と突き合わせて直す
公開したあとも、記録は続けます。よくある質問に載せた質問が、電話で同じように聞かれ続けるなら、答えが見つけにくいか、答えになっていないかのどちらかです。反対に、電話で「ホームページで料金を見ました」と言われるようになれば、答えは読まれています。記録シートのメモ欄にそうした一言を書いておくと、月ごとに数えられます。
料金や制度が変わったとき、対応地域を広げたときは、よくある質問も同じ日に直します。古い答えが残っていると、電話で「ホームページと話が違う」と言われる原因になります。年に一度、すべての答えを読み直す日を決めておくと、直し漏れを防げます。
今日、自社で確かめられること
- 直近一か月の電話の着信履歴と受信箱を見ながら、聞かれたことを、お客の言い方のまま十個書き出す。
- その十個のうち、いまのホームページに答えが書いてあるものに印をつける。書いてあっても「お問い合わせください」だけのものには、印をつけない。
- 印のつかなかった質問のうち、いちばん多く聞かれているものを一つ選び、一文目で答える文を書いてみる。金額や日数なら幅で書く。
- その質問を市の名前と一緒に検索窓に入れ、予測の候補に出てくるかを見て、よくある質問のページにまとめるか、独立したページにするかを決める。
- よくある質問のページがすでにあるなら、FAQ の構造化データが出力されているかを制作会社に確かめ、出ているなら、表示している質問と中身が一致しているかを見る。